菅 健一 プロフィール                      Roux掲載記事引用

菅健一●すがけんいち
スガ歯科医院院長。1950年10月13日生まれ。0型。九州歯科大学卒業。勤務医を経て、1982年に長嶺で開業。1992年5月現在地(水道町交差点角加地ビル2F)に移転。
自らの入院体験から現代の医療に疑問を感じ、移転を機に従来の保険診療の枠にとらわれない、健康診療に切り換えた。
患者さん中心の新しい医療体制である。丁寧で明るい応対が評判の3人のスタッフと共に、診療前のひとときを清掃に費やす。
その姿から学ぶものが多いと、スタッフ一同の声あり。患者さんの交流会「あいしくらぶ」も活動の輪を拡げている。
趣昧は旅行・探索。芸術家池田満寿夫の個展に出かけ、作品(椅子)を備品と間違って腰掛けてしまい、係をあわてさせたエピソードの主。
6人家族で長嶺在住。
親しい人のリビングに招かれたような気分になるロビー。
豪華だが、暖かく落ちついた雰囲気だ。
低めのデスクの向こうで穏やかに微笑む人が、「菅健一」さんらしい。
名前を告げるより先に、彼が立ち上がる。
ようこそ、とすすめられたのは、診察台ではなく、
ゆったりと座り心地のいい椅子だった。
(Roux掲載記事引用)


R-2年前に治療した歯がまた痛みだして…

菅-だいぶ我慢なさっていたみたいですね。痛みますか?
R-はい、今はそうでもありません。あの、私、歯医者さんが苦手で…ついつい今まで延ばしてしまってたんです。
菅-何か、いやな思いをされたことがおありなんですか?
R-キーンというあの音が、チーッて痛みと共に焼きついていて。あれに較べたら、って。
痛いし、緊張するし、でもそんなのお構いなしに治療が進みますよね。自分で悪くしてしまってるんだから、我慢するしかありませんけど。
治療の後はもうくたくたです。あの気分を昧わうのかと思うと、つい、二の足を踏んでしまって。

菅-そうですか。じゃあ、今日はすごい勇気を出してお越しになったんですね。
R-はい。早く来ればいいのは、判っていたんですけど。先生、この歯はどうなるんでしょう。やっぱり抜かないとダメでしようか。
菅-抜きたいとお思いなんですか。
R-いいえ、そんな。抜きたくないですよ。でも、何度も治療した歯ですし。あのう、先生、こんなにゆっくりお話をしてても構わないんですか?
他の患者さんのご迷惑になりませんか。

菅-この時間はあなたのためにとってあるのですから、心配いりませんよ。気になっていらっしゃることを、何でも聞かせてください。
R-ありがとうございます。こんなに痛いと、いっそ抜いた方がいいかなと、思うんですけど。
今までに、どうしようもなくて何本か抜いてしまっていて、本当はすごく後悔しているんです。
このまま自分の歯がポロポロ欠けていくことを想像するだけで、すごく落ち込みます。
先生、私の歯の質は弱いんでしょうか。歯はきちんと磨いているのに、どうしてこんなことになるんでしょうか。

菅-歯が弱いと思われているんですね。
R-体は何ともないのに、歯だけが悪くて、私、歯にはコンプレックスがあるんです。大きな口を開けて、思いっきり笑えないんですよ。
だいたいおしゃべりなんですけど、みんなの輪の中へなかなか入っていけなくて。
TVや雑誌なんかも口元へ目がいくし、きれいな真っ白い歯がすごくうらやましいんです。人と話をする時も、すぐ歯を見てしまう…。

菅-ずいぶん歯のことを気にしていらっしゃるんですね。
R-先生、どうしたら歯が悪くならなくてすむんでしょう。今からでも間にあいますか?
菅-だいじょうぶですよ。きっと歯の健康を取り戻せますから…。
どうすれぱ一番いいか、お口の中の詳しい検査をして、生涯、歯のことを気にせずにすむよう、一緒に考えていきましょう。
コンプレックスもきっとなくなりますから、安心してくださいね。


菅健一さんは歯科医だ。だが、今まで会ったどの歯医者さんとも違っている。語り口、雰囲気、眼差し、どれもが穏やかで明るい。
そして誠実。話をしながら、私の歯のことを私よりも考えてくれているような気がしてきた。「もちろん最高の技術を提供したいと考えています。
ですがそれ以外に、患者さんがどうしたら気持ち良く治療を受けられるかに、心を配るんですよ」。
「痛むのがたとえ一本の歯だけでも、患者さんは心身共にとても弱った状態で、ここにみえるのです。痛くて、心細くて、不安で…。
そんな方には、いたわりの気持ちこそが必要なんですよ」。

菅さんは、3回の入院経験を持つ。「あれが医療に対する基本的な考えを作りましたね」。
麻酔が良く効いていないまま、切除手術をされてしまった。訴える菅さんに、“大げさな-我慢しなさい- の声。
思いやりもプライバシーも失われた、大部屋での入院生活。ベッドに固定され、トイレにも立てない病人の導尿を嫌がる看護婦さん。
大勢の患者さんがいる中で、病名を告げられ手続きを迫られたこともあったという。
病人は罪人なのか、病人はモノなのか?「違いますよね。普通なら考えられないくらいデリケートになった、弱い、小さい存在なんですよ」。
菅さんが入院したのは、どこも名の通った評価の高い病院だった。「そこでさえ、患者の扱いはそんな調子なんです。
これが保険医療の現状なんです」。極度のストレスで神経質になった病人の菅さん。それを支えたのは、家族だった。
温かいいたわりが、今も感謝の心と共に胸に残るという。「だれだって、気持ち良く毎日を過ごしたい。
病気の時ならななおさらです。
医療に携わる我々は、何をしなければならないか、それは、同じ人間としてできる最高のものを、患者さんに提供することなのです。
技術も、環境も、思いやる気持ちも。これこそ、健康診療なんですよ」。
歯の健康は、その人の生命を支えている。自分の歯で自分の健康を守り、幸せな一生を過ごすことは、十分に可能なことなのだ。
そして、等しい権利なのだ。「今からでも、だいじょうぶですよ。お手伝いをしますから、一緒にがんばりましょうね」。
患者は自分が受け入れられたことに安心し、自信を取り戻す。歯の痛みと共に、心のトゲも抜けていく。

菅健一さんは歯科医だ。もっといろんな話をしたい、そう思わせる人だ。…。